ニュースや新聞などによく登場する「富裕層(ふゆうそう)」。
説明するまでもなく富裕層とはお金持ちのことを指す言葉なわけ…ですが、気になるのがその資産規模について。
いったいどのくらいのお金を持っている層を富裕層と呼ぶのか、みなさんはご存知でしょうか?
そこで今回はよく聞くけどいまいちわかっていない、富裕層について徹底解説。いつかは富裕層になりたいと思ってる方は是非、参考にしてみてくださいね。
富裕層の定義や割合について:
1億円以上の資産があれば富裕層:
まず、富裕層は資産がいくら以上の人のことを指す…といった定義についてはやや曖昧。
日本国内だと資産1億円以上の人のことを富裕層と呼ぶことが多いのですが、海外だと資産100万ドル(現在だと1億1,300万円程度)を富裕層と呼ぶこともあるなど、特に「○○万円以上が富裕層の定義だ!」といったものはありません。
- 日本国内:資産1億円以上なら富裕層
- 国際的には:資産100万ドル以上なら富裕層
まぁこの辺は通貨価値の違いによるものなので、だいたい日本円にして1億円以上持ってたら富裕層だと思って間違いはないと思います。
野村総合研究所による富裕層の分類:
実際、野村総合研究所(NRI)では、下記のように富裕層を分類(引用はこちら)。
- 超富裕層:資産5億円以上
- 富裕層:資産1億円以上5億円未満
- 準富裕層:資産5,000万円以上1億円未満
- アッパーマス層:資産3,000万円以上5,000万円未満
- マス層:3,000万円未満
ご覧のように同じ富裕層は富裕層でも、保有資産が5億円以上ある層は「超富裕層」と命名するなど、富裕層内にも別の分類を作成していることがわかりますね。
日本における富裕層の割合:
では、気になる日本国内における富裕層の割合については下記図を参考に(NRIによる2017年の統計データ)。
預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類し、各々の世帯数と資産保有額を推計しました。
結果は、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると126.7万世帯で、内訳は、富裕層が118.3万世帯、超富裕層が8.4万世帯でした。
わかりやすく図解中の数字を起こすとこんな表になります(比率はすべての世帯数を合計した上で算出)。
分類 | 世帯数 | 比率 |
---|---|---|
超富裕層 | 8.4万世帯 | 0.156% |
富裕層 | 118.3万世帯 | 2.20% |
準富裕層 | 322.2万世帯 | 6.0% |
アッパーマス層 | 720.3万世帯 | 13.41% |
マス層 | 4,203.1万世帯 | 78.24% |
合計 | 5,372.3万世帯 | 100% |
富裕層は全体の2.3%程度:
金融資産1億円以上を保有している、超富裕層と富裕層を合計するとその割合は2.35%程度。
これは単純に考えると、渋谷のスクランブル交差点あたりで見渡した時、100人中2~3人は1億円の資産を持っている方か、その家族である可能性が高い…という比率です。
- 100人中2~3人:富裕層以上
- 100人中8人程度:資産5,000万円以上
- 100人中21~22人程度:資産3,000万人以上
また、100人あたり2~3人ってことは、だいたい42人あたり1人が富裕層といえるので、中学校や高校時代の同じクラスにいた同級生のうち1人くらいは、現在、富裕層であると言うこともできます。
富裕層は60代以上の割合が高い:
富裕層は100人あたり2~3人居ると聞いて、『いやいや、私の知り合いにはひとりも富裕層はいないけど?』と思われた方も多いかも…ですが、今回の野村総合研究所による統計は「世帯として富裕層かどうか」なので、単純に親や祖父母が富裕層である可能性もあります。
- 間違い:100人あたり2~3人が資産1億円以上
- 正解:100人あたり2~3人が資産1億円以上か、その家族
更に現時点で富裕層なのは30~40年といった期間を働き、コツコツと資産形成してきた団塊世代以上の方に多いので、現時点で20代や30代の方の場合は、周りに富裕層がいなくても当然の話。
この先、年齢を重ねるごとに富裕層が誕生していくと思われるので、現時点で富裕層になれていなくてもそう焦ることはありませんよ。
富裕層に関するあれこれ:
ここまでで富裕層の定義やその割合がわかったところで、その他の富裕層に関する知識についても紹介しておきます。
将来的に富裕層になりたい方は参考にどうぞ。
富裕層の割合は増加中:
日本国内における富裕層の比率は年々上昇傾向。
その背景には日本全体の世帯数の増加もありそうですが、2015年と比べても明らかに富裕層の割合は増えている形です。
富裕層・超富裕層の純金融資産総額も増加が続く
2015年から2017年にかけて、富裕層および超富裕層の純金融資産総額は、それぞれ9.1%(197兆円から215兆円)、12.0%(75兆円から84兆円)増加し、両者の合計額は9.9%(272兆円から299兆円)増えました。
背景には株価の高騰:
ではなぜ、富裕層がここまで増えてきているのか、これはアベノミクスによる株価高騰が一因にありそうな感じ。
確かに2013年頃とくらべると2017年の株価は2倍以上になっているので、投資をしていた方々がその恩恵に預かっている可能性は充分に高いですね。
富裕層および超富裕層の保有する純金融資産額の増加は、景気拡大と株価上昇によって富裕層および超富裕層の保有資産が拡大したことに加え、金融資産を運用(投資)している準富裕層の一部が富裕層に移行したためと考えられます。
また、富裕層・超富裕層である親や祖父母からの相続や、生前贈与を受けて富裕層・超富裕層になった世帯、および自ら起業して新規株式公開(IPO)や事業売却により資産規模を拡大した世帯も増えていると考えられます。
加えて団塊世代が退職をし、数千万規模の退職金をもらったことも影響がありそうな感じ。
在職中は積極的に資産運用してこなかった方でも、退職金の受取によって準富裕層や富裕層にジャンプアップしたものと思われます。
30億円以上の富裕層は東京だけで6,785人:
次に金融資産が1億円以上や5億円以上といった程度の富裕層ではなく、世界的にも『これぞ富裕層だ!』という資産総額30億円以上の富裕層はどのくらいいるのでしょうか?
Nippon.comの記事によると東京都内に在住で、資産3,000万ドル以上(日本円で約34億円)を保有している人の数は全部で6,785人(調査はWealth-X)。
同様に大阪にも2,730人ほどが住んでおり、日本全体だと17,915人になるようです。
- 東京在住の超富裕層:6,785人
- 大阪在住の超富裕層:2,730人
- 日本全体の超富裕層:17,915人
世界的に見ると2番目に超富裕層が多い:
ちなみにこの17,915人という数字は、世界的に見るとアメリカについで2番目に多い数字とのこと。
- アメリカ:7万9,595人
- 日本:1万7,915人
- 中国:1万6,875人
- ドイツ:1万5,080人
- カナダ:1万0,840人
まぁアメリカ合衆国の数字が飛び抜けて多いために日本の数は霞んでしまいますが、それでも世界で2番目に超富裕層が多い国であるのは素晴らしいなと思う私。
なにせ若い人が努力によって富裕層になれるような環境にないと、日本の将来に夢や希望を抱くことはできませんからね。
引き続き日本には、世界的にみても裕福な国であり続けてほしいと思います。
100万円の貯金をまずは貯める:
いつかは富裕層になりたいなと思っていても、現時点で貯金は数万円程度。毎月のクレジットカード返済等にてんてこ舞いで資産形成なんてできないよ…という方は下記記事も参考に。
100万円の貯金を作るために必要な考え方と、その知識について解説しています。とりあえずまずは100万円からどうぞ。
収入アップや節約では貯まらない1億円:
今回解説させていただいたように、富裕層というのは一般的に金融資産1億円以上の人を指す言葉。
仮にみなさんが富裕層になりたい場合には、収入を増やすか節約をするか…といった選択肢があると思いますが、残念ながら年収500万円の人が40年働いて稼げるお金が2億円ですからね。
- 年収300万円で40年働く:1億2,000万円
- 年収400万円で40年働く:1億6,000万円
- 年収500万円で40年働く:2億円
そこから家賃、食費、税金といった費用を引いていったら、いくら節約しても1億円なんて貯まりません。
資産運用でお金を増やすしかない:
そのため、本気で富裕層入りを目指すのであれば資産運用はもはや必要不可欠。
それでも1億円を貯めるためには10年、20年といった長い期間でお金をコツコツを増やしていくしかないので、やるなら正しい金融知識を付けた上で挑戦してもらえればな…と思います(下記記事では資産運用の入門書を紹介)。
以上、いわゆる富裕層とは、資産がいくら以上の人のことを言うの?日本のおける富裕層の定義や、1億円以上の金融資産を保有してる割合を紹介…という話題でした。
参考リンク:
老後のためにお金を貯めておきたい…という方は下記記事も参考に。老後資金っていくらくらい必要なのかについてわかりやすくまとめています。